#38  「やるべきことをきちんとやらずして長期的ビジョンを語るべからず」

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~ 「やるべきことをきちんとやらずして長期的ビジョンを語るべからず」 ~
統合プロジェクト管理「SI Object Browser PM(OBPM)」の事例に、国際ソフトウェア株式会社様(以下、KSW)に登場いただきました。こちらと出会って、まず驚いたのは、1980年の創業以来30年間黒字経営を続けられていることです。

私は、会社というものは雇用と納税の2つが社会的義務であり、黒字経営を続けることを重要視しています(当社は、一昨年の16年目に遂に1回土が付いてしまいましたが…)。KSW社が、オイルショックやバブル、ネットバブル、リーマンショックなど、どんな不況をも乗り越えて黒字を出し続けているのは本当にすごいと思います。

長期的に安定して利益を出し続ける企業は、目先に走らずにきちんとやるべきことをやっています。KSW社も、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格「ISO/IEC27001:2005」の認証取得や国際的品質基準ISO9001(QMS)認証取得(2011年秋取得予定)など着実な取り組みをしています。セキュリティと品質はソフトウェア企業の基本中の基本ですが、口先だけでなく実際に取り組んでいる中堅ソフトウェア企業は多くありません。そのような堅実な会社が、3つ目の基本であるプロジェクトマネジメントの強化対策としてOBPMを採用してくださったのは、非常に光栄なことと感じています。

OBPM採用により推し進めるのは、「KSWのプロジェクトマネジメントの基準を標準化する」ということです。標準化を行い、それを使い、改善してまた使うというPDCAサイクルがまわることで、プロジェクト管理レベルは驚くほど向上します。こうした体質強化を図ってさらなる30年に向けて進んでゆくのだろうと思います。

みなさんの会社は長期的なビジョンを掲げていますか。こちらでは10年もの長期的ビジョンを掲げています。「大空に翼を広げる10年!グローバルなソフトハウスになる」という2020年ビジョンです。やるべきことをやっている企業だけがこういうビジョンを掲げる資格があるのでしょうね。逆に言えば長期的ビジョンがあるから一歩一歩しっかりとしたことをやっているのでしょう。KSW社の取り組みは、多くの企業の長期的ビジョンのヒントになると思いますので、よろしければご覧になってください。
国際ソフトウェア株式会社様導入事例:http://www.sint.co.jp/products/obpm/cs/cs_ksw.html

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梅田弘之の 「グラス片手にビジネスを考える」
~ 「ストック型ビジネスをプロジェクト型マインドで実施する」 ~
先月、「プロジェクト型の人間を育てる」というテーマを取り上げました。一方で、当社の経営戦略上で重要視しているのは、対極的な「ストック型ビジネスを増やす」というものです。パッケージビジネスにおいては、保守やクラウドなど期間サービスのビジネスモデルですね。

3年前くらいからこの方針を打ち出して、保守料金体系の見直し、保守契約率アップの施策、クラウドサービスの提供などいろいろやった結果、ようやくストック型ビジネスの売上比率が向上してきました(まだまだ低い水準ですが…)。

同時に、気を付けなければいけないと思う面も見えてきました。それは、積極的なサービスをどう打ち出すかというものです。私は、「税金や会費でまかなわれている組織・団体の活動は鈍くなる」と考えています。南国の人々がのんびりしているのも、お役所の効率が悪いのも、努力しなくても食っていけるという豊かな環境が影響していそうです(失礼!)。

ストック型ビジネスは経営的に安定するのですが、対価に見合った価値を提供する厳しさがプロジェクト型ビジネスより稀薄になりやすい。現場は何もないのが一番楽って考えるし、経営者もやらずぼったくりが一番儲かるなどと考えてしまいます。しかし、そんな組織はすぐに弱体化し、ビジネスも競争力を失います。

そうならないためにどうするか、これは上記の法則に逆らうことなので意外と難しいです。自分たちはどういうサービスを提供できるか、どうしたらユーザーが喜んでくれるか、そういう前向きなテーマでなんどもなんどもサービス改善をディスカッションする。そんなことをルール化しないと、なかなか積極的なサービスが提供できないと感じています。