#190 アビリーンのパラドックス

■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
梅田弘之の「グラス片手にビジネスを考える」
■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

前回の「寛容のパラドックス」に引き続いて、「アビリーンのパラドックス(Abilene Paradox)」を紹介します。

これは経済学者ハーヴェイ氏が示したもので「組織のメンバー全員が本当は望んでいない決定や行動をしてしまう現象」です。いったい全員が良いと思っていないことを決議するなんて、実際にあるのでしょうか。

最近、「人の意見に反対するくらいなら自分の本音を言わないでおこう」という”優しい人”が増えています。そういう人が集まって会議したとしましょう。あるアイデアが出た時に、これはみんなが賛同している案だと思って誰も異を唱えません。そして、そのうちにこのアイデアが採用されてしまうわけです。

このパラドックスは「事なかれ主義」や「リーダー不在」などの例としてよく用いられます(Wikiにもあります)。メンバーのうち1人でも決定に責任を持つ、リーダーがひと言「あなたは本当にいいと思っているのですか」と尋ねる。そんな簡単なことで防ぐことができるのですが、じわじわ増えているかも知れません。